蝶蝶
子供の頃のお盆の思い出です。
自分は小学生中学年ぐらいだったかと思う。
その年の夏は、弟達二人が次々に麻疹(はしか)を
発症したのでまだ麻疹を経験してなかった私は
ちょうど夏休みだったので
一人で田舎のおばあちゃんちに避難しました。
田舎のおばあちゃんちには、まだ小さな
男の子のいとこKちゃんが居て
(Kちゃんはまだよちよち歩き)
そのKちゃんのお母さん(叔父さんの嫁さん)は
Kちゃん出産時に亡くなってしまい
その夏は、Kちゃんのお母さんの新盆でした。
お盆の入りのために準備が始まり
おばあちゃんは祭壇のような棚をつくり
白い布を掛けました。
そして大きな箱を持ってきて
「その中のものを取り出して棚に飾りなさい」と言って
忙しそうにどこかに行ってしまいました。
まずは、叔母さん(Kちゃんのお母さん)の遺影を飾り
Kちゃんに「ほら、お母さんだよ」
「とってもやさしくて素敵なお母さんだったんだよ」
と声をかけながら
私は箱からいろんな物を取り出して
珍しいものを眺めたり、棚に置いてみたり....
Kちゃんは、いろんなものを舐めたり振り回したり....
すると。。。
しばらくすると開け放しの縁側から、
ヒラヒラと1匹の蝶蝶が入ってきた。
『あ、チョウチョが家の中に入ってきちゃった!!!』
と私がビックリしてると...
蝶蝶はまっしぐらにKちゃんの所に飛んで行って
ヒラヒラくるくるKちゃんにまとわりつくように
舞い始めたのです。
Kちゃんはビックリもせず、相変わらず楽しそうに
そこらのものを手に取って舐めたり振り回したり
そのKちゃんを愛おしむようにそっと触れながら
ヒラヒラくるくる回る蝶蝶。
…あ、叔母さん!(Kちゃんのお母さんの事)
Kちゃんと蝶蝶を見てた私はなぜか疑いも無く
その蝶蝶はKちゃんのお母さんだ!と感じ
当時のKちゃんは身内びいきかもしれないけど
もし赤ちゃんコンクールに出たら絶対優勝するな、と
思う位とびきり可愛い赤ちゃんだったので
「こんなにかわいくて叔母さんとっても嬉しいだろうな…」
と、思いながら私は“ふたり”を見守りました。
蝶蝶はしばらくKちゃんのまわりを舞っていましたが
部屋の中では他にどこにも行かないで、
また元来た縁側からどこかに帰って行きました。
その後、おばあちゃんが戻ってきたときに
「さっきKちゃんのお母さんがチョウチョになって
Kちゃんに会いにきたんだよ」と教えると
「そうかい、そうかい、それは良かった」と
一緒に喜んでくれました。
その後、
亡くなった人の霊が蝶蝶になって会いにくることがある、
というのをどこぞの霊能者がテレビで言ってるのを見たのは、
私がすっかり大人になってから。
『あぁ、やっぱりそうだったのね』
と、あの光景を思い出し、
子供の自分が素直にそう思ったんだから
やっぱりホントの事なんだろな、と思うのです。
…うちの母がもしうまい具合に蝶蝶になれたとして
真っ先にどこに行くか、、、、
私は知っている。
そしてあの光景をまた見てみたい...
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コメント
素敵なお話だなー。
去年、叔母の7回忌に従兄弟ズと話をしたんだけど、
!!
「こういう節目節目の朝にさ、オカン(=叔母)の仏壇に必ずハエが来るんだよ。あれ、オカンじゃねーかな」
…ハエって!! ハエって
というのを思い出しました。
投稿: みう蔵 | 2017年8月13日 (日) 22:26
>みう蔵さん
ハエって!
…そうか、うちの母も蝶とは限らないか(^-^;
“変身”するのか“乗っかる”のかわからないけど
どなたもなるべくなら蝶蝶でうまくいきますように
お墓参りしてきました。
ハエも蝶も見なかったわ。。。
投稿: 兎夢 | 2017年8月14日 (月) 18:15
綺麗なお話ですよね>蝶々
自分は小説で知ったような覚えがあります。
こちらも会えたらいいなぁと思ってたんですが、
蝶々とのそれらしい遭遇はありませんでした。
一方で車中やたら四足(イタチ、ウリボウ、シカ)と遭遇しましたけど。
…あれは多分ちがうよなぁ
投稿: 更紗 | 2017年8月15日 (火) 22:50
>更紗さん
小説でもそういった場面があるんですか。
わりと有名な話なんでしょうかね。
しかし、種類豊富な四足!
うちでは犬猫にしてもあまり出会いがありません。
羨ましいですー!
なんか乗っかってるとしたら山の神様っぽいですね。
投稿: 兎夢 | 2017年8月16日 (水) 22:27